平成25年7月1日に施行された土砂等の堆積の規制に関する条例(通称:残土条例)について、今まで業務を通じて許可申請に至った経緯はありませんが、開発業者側から見ると、非常に煩雑で許可を得るまでに期間と経費を要する申請、という印象のようです。
他の許可案件に絡む盛土であれば、届出で済むようですが、単独での残土条例許可申請の可能性がある場合は、計画段階で適法妥当に避けていきたい案件なのだと思います。
要件として、500㎡以上の盛土がありますが、例えば開発地が市街化区域内で800㎡の場合、開発許可は不要ですが、盛土を500㎡以上するのであれば、残土条例にかかることになります。そのため、残土条例許可申請を行うか、造成計画をよく見直して、盛土を500㎡未満に抑えることができるのか等々、アイデアとテクニックを駆使しての判断を求められることになります。参考に、下記に要件等掲載しました。
土砂等の堆積に関して、市民の生活の安全確保及び生活環境の保全に寄与することを目的とします。
土砂、岩石及び土砂等に混入し、又は付着したもの(廃棄物に該当するものは除く)
条例では、「埋立て、盛土その他の土地への土砂等の堆積(製品の製造又は加工のための原材料の堆積を除く。)をいう。」と定義しております。例えば、山間部の谷地の埋立て、農地改良等、土砂等を用いて土地を埋め立てたり盛土を行う行為やストックヤード等土砂等を堆積している行為を対象としております。
※土砂等であれば、その質や有価物か無価物か等は関係ないのでご注意ください。
土砂等の堆積を行おうとする方は、土砂等の堆積に係る土地の区域面積が500㎡以上のときは、土砂等の堆積に関する事業計画を定め、許可申請が必要になります。
許可を申請しようとする事業者は、あらかじめ、事業計画の周知を図るため、事業計画予定地に標識を設置し、近隣住民等との協議(説明会開催等)及び市との事前協議をする必要があります。※事業計画によって、標識設置及び近隣住民協議を省略できる場合があります。
A|土砂等の流出、崩壊等を防止する上での基準(土砂等の堆積の基準)
ア:堆積する土砂等の高さ、のり面の勾配
イ:排水施設、擁壁等
ウ:地形等に応じ配慮すべき事項等
B|許可申請者等の資力、信用
C|計画の妨げとなる権利を有する者の同意
D|堆積に使用する土砂等の安全基準
A|土砂等の堆積に係る土地の面積が500㎡未満の土砂等の堆積
B|土地造成その他の事業の区域内において行う土砂等の堆積で当該事業の区域における土砂等のみを用いて行うもの
C|法令又は他の条例の規定による許可等の処分その他の行為として行う土砂等の堆積で、市長に届け出たもの
[例] 都市計画法、道路法、河川法、土地区画整理法、宅地造成規制法等
D|公益性が高いと認められる事業の実施に係る行為のうち無秩序な土砂等の堆積となる恐れがないもの
[例] 都市計画事業、土地改良事業、道路又は河川に関する事業等
E|災害復旧のために必要な応急措置として行う土砂等の堆積
F|法令もしくは条例又はこれらに基づく処分による義務の履行に伴う土砂等の堆積
G|運動場の砂利敷その他の通常の管理行為として行う土砂等の堆積
H|土質改良プラントその他の施設の敷地内において当該施設で化学的に性質を改良した土砂のみを用いて行う土砂等の堆積
I|採石法及び砂利採取法の認可に係る土地の区域において採取された土砂(岩石及び砂利の採取のために除去した土砂を除く。)のみを用いて行う土砂等の堆積
J|国又は地方公共団体における土砂等の堆積
A|許可不要行為として行う土砂等の堆積の届出書(様式13号)
法令又は他の条例の規定による許可等の処分その他の行為として行う土砂等の堆積
[例] 都市計画法、土地区画整理法、宅地造成規制法、道路法、河川法、採石法、砂利採取法、都市公園法、地すべり等防止法等
※道路位置指定、優良宅地認定を追加(平成25年11月1日改正)
※森林法を削除(平成26年7月1日改正)
B|無秩序な土砂等の堆積でない旨の届出書(様式第13号の2)
ア:運動場の砂利敷その他の通常の管理行為として行う土砂等の堆積
イ:土質改良プラントその他の施設の敷地内において当該施設で化学的に性質を改良した土砂のみを用いて行う土砂等の堆積
ウ:採石法及び砂利採取法の認可に係る土地の区域において採取された土砂(岩石及び砂利の採取のために除去した土砂を除く。)のみを用いて行う土砂等の堆積
エ:国又は地方公共団体における土砂等の堆積
※該当する場合は届出が必要になります。(平成26年1月1日改正)
開発許可制度は、開発区域の規模及び予定建築物の用途に応じて、道路、公園、排水、給水等の必要な施設の設置を義務づけ、良好な水準の都市形成の誘導を図ろうとするとともに、市街化調整区域にあっては一定のものを除き開発及び建築等の行為を制限して、無秩序な市街化を防止するという目的を達しようとしているものです。
線引きとは、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に分けることをいいます。 市街化を促進する地域と抑制する地域に分け、効率的な住環境の形成を促進すると同時に、無秩序な開発を防止することが目的です。なお線引きは、都市計画法での区域区分と同じ意味です。群馬県内では、昭和46年3月31日に、前橋市、高崎市、伊勢崎市、旧佐波郡境町(現伊勢崎市)において本県における最初の線引きが行われ、その後、次のとおり線引きが行われています。
【市街化区域と調整区域】
【個人開発(11号)】
【既存宅地とは】
【審査会基準とは】
【造成工事の心得】
【高崎市残土条例】
【不許可とならないためには】
高崎市開発審査会基準(都市計画法第34条第14号)の運用について、高崎市開発審査会は平成15年12月1日より開発審査会の基準を包括承認基準と個別提案基準の2つに分けて運用していますが、提案基準のなかで内容が極めて類型的な案件について定型的に処理し、手続きの合理化、迅速化を図るために包括承認基準を設けています。
包括承認基準には9類型ありますが、その中の「既存宅地内建物」の要件等について説明します。
いわゆる調整区域に家を建てる場合、各自治体により、開発条件が異なりますので、ここでは高崎市を例にしてお話します。市街化調整区域とは、市街化を抑制すべき区域であり原則として宅地造成や建物の建築ができない区域になります。しかしながら、スプロール防止の観点から支障のないと認められるもの等であれば、都市計画法第34条により例外的に開発行為が認められています。高崎市では、都市計画法第34条に基づき、以下の条例及び運用基準を定めています。
法第34条第1号(公益施設・日用品小売店舗等)
法第34条第9号(ガソリンスタンド・コンビニ等)
法第34条第11号(自己の居住の用に供する住宅)
法第34条第14号(高崎市開発審査会基準)
この中で、11号の「自己の居住の用に供する住宅」とあります。つまり調整区域ではありますが、建てたい土地の条件(施主の要件もあります)が、基準に合致すれば新築が建てることができます。以下、概要ですが高崎市より示されている条件です。
※上記詳細及び施主の条件等は当事務所へお問い合わせください。
1.市街化区域
都市計画法に基づき指定され、都市計画区域における区域区分(線引き)の一つです。市街地として積極的に整備する区域で、用途地域等を指定し、道路や公園、下水道等
の整備を行い、住宅や店舗、工場など、計画的な市街化を図る区域です。都市計画法の定義としては、「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」とされています。都市計画区域として指定された区域のうち、既に市街地になっている区域や公共施設を整備したり、面的な整備を行うことにより積極的に整備・開発を行っていく区域として区分されます。市街化区域では、さらにその利用目的に応じて、建築可能な建物が制限されています。用途地域を定め、土地利用の内容を規制し、また補助的地域地区を定めて地域の特色に合わせた制限を掛けており、これらの規制によって、良好な都市環境の市街地の形成を目指す区域です。
市街化区域の特則として、下記事項があげられます。
2.市街化調整区域
都市計画法の定義としては、「市街化を抑制すべき区域」とされます。この区域では、開発行為及び都市施設の整備も原則として行われません。つまり、新たに建築物を建てたり、増築することを極力抑える地域です。ただし、一定規模までの農業用施設や、公的な施設、および公的機関による土地区画整理事業等による整備等は可能です。既存建築物を除いては、全般的に農業等の田園地帯とすることが企図されています。また、市街化調整区域では市街化を抑制するため、原則として用途地域を定めていません。
農地(田、畑等)の所有権を移転し、またはその他の権利を設定若しくは移転しようとするとき、或いは農地の所有者自らが、農地以外(宅地、駐車場等)にするとき、又は農地を農地以外のものにするため、その所有権を移転し、またはその他の権利を設定若しくは移転しようとするときは、農地法による許可または届出を得ることが必要です。これらの手続きを経ずに農地転用等をすることはできません。田や畑を増やしたい、畑を駐車場にしたい、休耕地に家を建てたい等、農地に絡む計画がある場合には農地転用が必要となります。
【主なケース】
許可及び届出について、各自治体により申請期間が設けられています。
また、許可後には、許可の目的に沿った転用がなされているか否かを判断するため、農業委員会へ定期的に書面で報告することが義務付けられていますのでご注意ください。
高崎市は、計画的な市街化の形成により本市の健全な発展を図るため、宅地開発事業や中高層建築物の建築を行う方に対し、事前協議制度を設けています。事前協議は住みよい町づくりを推進し、建築主等と近隣住民との間の円滑な事業の進行を図ることを目的としています。高崎市宅地開発指導要綱及び、高崎市中高層建築物の建築に関する指導要綱に基づく事前協議の対象となる事業は、以下のものです。
【 高崎市開発審査会基準(都市計画法第34条第14号)】
高崎市開発審査会は、平成15年12月1日より、開発審査会の基準を包括承認基準と個別提案基準の2つに分けて運用しおり、提案基準のなかで内容が極めて類型的な案件について定型的に処理し、手続きの合理化、迅速化を図るために包括承認基準を設けています。
高崎市では、市街化調整区域内であっても、周辺住民の日常生活のため必要な店舗や沿道サービス施設等、必要な施設立地のため、例外的に開発行為が認められています。その要件が法第34条第1号から第14号に列記されていますが、このうち第14号(周辺市街化を促進する恐れがなく市街化区域内において行うのが困難又は著しく不適当な開発)の開発行為について許可する場合には、あらかじめ開発審査会の議を経る必要があります。これは、第14号が許可権者の裁量的要素が多いことから、公正かつ慎重な運用を行うために、第三者機関である開発審査会の審議を必要としているものです。この開発審査会の審議を必要とする基準が上記となります。